市民連合・凛風会行政視察 日時 平成30年10月23日10時〜11時半
1、視察先 宮崎県えびの市
2、調査事項 30人学級の導入と小中一貫教育について
3、視察者 熊谷議員、佐藤副議長、奥村議員、高野議員、山崎議員
佐久間議員
4、えびの市出席者 (5人)
北園市議会副議長、平川教育委員会学校教育課主幹
大河平学校教育課課長補佐兼総務係長、後藤学校教育課係長
鶴田議会運営係長
5、報告者 佐久間 誠
■宮崎県えびの市は、昭和41年11月に三つの街が合併し、「えびの町」となり、昭和45年12月1日に市 政を施行し、現在に至る人口18473人、8485世帯(H30・10・1減)の街で、面積は28㎢。
■宮崎、鹿児島、熊本三県の県境にあり、九州縦貫自動車道は、えびの市で宮崎、鹿児島に分岐しており、その 地理的優位性を生かし、交通・経済・文化の交流拠点都市として発展が期待されている。
■四季折々の豊かな自然と良質の温泉、清らかな水、肥沃な土壌などの恩恵を受け育つ安全・安心な食材など魅 力ある地域資源が溢れる街で、特産品として、米の食味ランキング特A(H27)のヒノヒカリ、内閣総理 大臣賞受賞の宮崎牛などがある。
えびの市における30人学級の導入と小中一貫教育について
■学校数 小学校5校、中学校4校 計9校
うち、施設一体型小中一貫教育校(上江小、上江中)
■児童生徒数 小学校889人、中学校471人 計1360人
■教職員数 小学校 97人、中学校 80人 計 177人
(1)30人学級導入の経過と現状について
■教育委員会委員長から問題提起(H25.5)があり、H25.9、H25.10、H25.11の三回の教 育委員会で30人学級に関する検討状況報告、今後の方向性、現状報告、進め方等について協議。並行し て、市長協議をH25.9(庁議メンバー)、H25.10(施策等ヒアリング、庁議メンバーと教育委員 会との協議)、H25.11(新年度予算に関する市長査定で協議)と協議を重ね、30人学級を導入。
(2)30人学級導入による成果と課題について
■H29年、教職員(110名)、保護者(683名)を対象に実施したアンケートでは、★学力向上で教職員 90.9%保護者80.2%、★生徒指導で教職員95.5%保護者82.6%、★信頼関係で教職員90. 9%保護者76.3%が「効果的」と回答し、今後継続を望むとするものが教職員94.5%保護者83. 0%にのぼった。
(3)施設一体型小中一貫教育校導入に至った経過と現状について
■H19〜20 構造改革特別区域制度の指定
(飯野小・中・高の3校でスタート)
H21〜文科省教育課程特例校の指定(市内全中学校で一貫教育を実施)
H26〜30人学級制の導入、幼保小連携・接続推進事業
H27〜飯野高等学校支援事業
H29・4〜上江(うわえ)小中学校が施設一体型として開校
(4)小中一貫教育導入の目標や特色について
■えびの市では、小中の9年間、小中高の12年間の期間の中で、児童生徒の発達段階に応じた「系統性・一貫 性」のある指導を行い、徹底した学力向上と地域に貢献する人材の育成を目指している。
・円滑な接続を図るために、「幼稚園・保育園」と「小学校」の連携、「小学校」と「中学校」の連携、「中 学校」と「高等学校」の連携を図っている。
@職員間の交流・幼児、児童、生徒の交流・体験活動の実施。
A市内各幼保園・市内各小中学校・飯野高等学校との連携。
B家庭や地域社会・関係機関との連携。・・・内容・方法の系統性・一貫性
・「えびの学」の取り組み(小1〜高3)
コーディネーター・地域人材(学校支援ボランティア含)の活用、えびの市の良さを実感できる活動・イン ターネット検索等、えびの米配布活動、えびのの自然・歴史・伝統の素晴らしさに関するスピーチなどので きる人材を育成。生涯にわたってふるさとを愛する心情と態度を育てる事を目標とする。
飯野小学校では「えびの学」の取り組みの一環として、えびの市に残る伝統芸能(輪太鼓踊り)に取り組 み、秋季大運動会で成果を発表している。(指導者=飯野麓地区輪太鼓踊り保存会、20名)
・英語によるコミュニケーション能力と国際感覚の育成
英語活動(小1〜2)・英会話科(小3〜6)、英語表現科(中1〜3)、基礎英語・英語T等(高校1〜 3)の特色ある教育活動を全ての学校で計画的・系統的指導として実践。
・より確かな学びとするための補充的学習
セレクト国語・算数(小5〜6) *セレクト=選ぶ、厳選する
・小中一貫教育導入による成果
・こうした計画的・系統的指導の効果として、文科省の「英語教育実施状況調査」(H27年度)では、中学 校卒業段階での英検3級以上の取得率は全国平均18.9%、宮崎県平均25.4%のところ、えびの市で は53.0%と大きく上回った。
・また、えびの市での英検の受験料補助導入時、平成23年度は公費受験の取得率34.3%であったが、平 成29年度は21.0%アップの55.3%の取得率(英検3級)と、大きな効果がみられる。
■施設一体型小中一貫教育(上江(うわえ)小中学校)
・敷地面積19340u 建物延べ床面積3928u
・児童生徒数 小学部/87人 中学部/45人 計/132人(H29.4.1見込み)教職員数30人
・総事業費5.9億円(文科省と、防衛省の補助金約1.4憶円あり)
・平成29年3月 小学校敷地内に中学校校舎他 施設完成
・校長が小中兼務(「連携型小中一貫教育校」方式を採った平成25年度より)
・校長1名の削減分を教職員1名の増とし振り替えている。
・3町合併の街であり、上江地区はまとまりがあった。また、地域活動も活発な地区であった。
・中学校校舎と小学校校舎の建物は分離されているが、管理棟を挟んで渡り廊下でつながっており、講師の乗 り入れがしやすい。平屋部分は、地域のコミュニティセンターとなっている。
■考察
30人学級を維持するために、えびの市では年間7000万円を独自に予算化し、講師を県内の色々な所か ら探して採用しているとのことでした。
たとえば、国際感覚を養うための英語教育に関するALT(外国語指導助手)は、小学校に2名、中学校に1名 おり、幼稚園にも派遣しているとのことでした。また、いじめ、不登校などに関しては、少なくなっている とのことでスクールカウンセラーは県からの派遣となっています。
「若い先生に入ってもらった」とのことで、「生徒と先生の距離感が近いのかな」とのお話や、中学の部活 などの関係でも、保護者と先生がたのつながりも濃くなっているようでした。一方で、熟練度からいうと、 年配の先生方は若い先生を指導するなど、ホローされているとのことで、全体的に大変良好な形で学校運営 がされていると感じました。
また、保護者の方々もこうした教育に対して温かく見守り、協力的で、学校と地域、行政が一体となり「教 育」に力を注いでいるのだなと感じました。
これらの事業の取組には、特に市長が熱心にやっているとのことで、しっかりした教育環境で学んだ子ども たちが成長し、やがてえびの市の未来を担っていく、10年、20年後が楽しみな、そんな姿が目に浮かぶよう な気持ちを抱かせていただきました。
お忙しい中対応いただきました、北園市議会副議長、平川教育委員会学校教育課主幹をはじめとする所管の 皆様に、心から感謝申し上げます。
2018年12月11日
宮崎県えびの市視察報告
posted by makoto at 11:59| 日記