2018年11月30日

増毛駅視察(名寄市議会経済建設常任委員会)

経済建設常任委員会視察   日時 平成30年10月3日
1・視察先  増毛町
2・調査事項 地域ブランド形成プロジェクトについて
3・視察者  経済建設常任委員会
4・増毛町出席者(8人)
       掘町長、佐藤議長など8名の皆さんが対応いただきました。
【増毛町の概要】
■増毛町は人口4,297人、面積369.71km。北海道西海岸日本海に面し、昭和30年頃までニシン漁で栄えたが、現 在は近海漁業、水産加工が中心で、他に商業、農業(果樹栽培)、食品工業などがあり、水産業ではエビの 漁獲量が多く、毎年5月には「増毛えび地酒まつり」が開催されている。
■観光では、厳島神社、旧商家丸一本間家、雄冬岬展望台、暑寒別岳、国稀酒造、増毛駅前観光案内所(映画「駅 STATION」ロケ地 s56年)
■大正10年に開業した増毛駅は北海道-樺太間の鉄道・港湾輸送の重要拠点となり、国策に大きく貢献したが、 年々利用人数が減少。留萌線のうち、留萌-増毛間(16.7km)が、落石、雪崩など安全対策経費などの経営環 境の悪化もあり、2016年12月4日の最終運行で廃止となった。
地域ブランド形成プロジェクト
(1)事業実施の経緯及び地域住民との合意形成
廃線を乗り越えて、鉄道遺産を活用するまちづくりとして提出した「地方創生拠点整備交付金事業」に「鉄道廃線の増毛駅舎を活用した地域ブランド形成プロジェクト」が採択されスタートした。(2017年2月)
(2)事業概要
・増毛駅舎の増築と広場整備⇒合理化で減築された増毛駅の復元。
 歴史、文化、観光等に関する展示、PR、交流拠点等に活用。
 事業経費:7,198万円(うち地方創生拠点整備交付金3,599万円)
・増毛駅のシンボル化事業⇒終着駅の増毛駅の歴史、賑わいの歴史を繋げる
 シンボル塔(7m)「テルミヌスヘの願い」制作。(彫刻家 五十嵐威(たけ)暢(のぶ)氏作)
 事業経費:650万円(うち地方創生拠点整備交付金325万円)
・地域ブランド形成プロジェクト⇒地域ブランド創造にむけた資源の発掘、観光ガイド養成、歴史文化資産の再 発見を狙いとしたセミナーの開催。
 事業経費:288万円(うち地方創生拠点整備交付金144万円)
 開催事業:「歴史文化資産を活かしたまちづくりを考える」セミナー
 駅の歴史を学ぶ 観光ガイド養成講座
 JR留萌本線 留萌-増毛間写真展
(3)事業の今後の課題と展望について
 2018年の駅舎増築後の取り組みとして
・完成記念 倍賞千恵子講演会(4月15日)
・オ-プニングセレモニーの開催(4月22日)
※100人 ロングテープカット、記念撮影、青年部協働隊によるトロッコ体験
・廃線路を歩く健康ウォーキング(5月22日)
・ましけ春の味まつり(5月26日、27日)など、多くの来場者を得て開催されており、賑わいを見せている。
(4)交流人口の拡大と賑わい創出の具体策と現状について
 ・入込客数は30万人/年を目標としている。
 ・若い人たちへのアプローチとして「婚活」の実施。…3回やり、札幌などから女性が参加。また、「アップ  ルパイ」などお菓子の評価が高い。…原価に難あり。
 ・国稀酒造に、新しい蔵を(2017年)つくり試飲などできるようにしている。…留萌振興局などの応援。
 ・増毛の人気寿司店は、地元の人は混んでいて食べられないほど。
 ・札幌から2時間、羽幌から60kmの位置にあり、「秋の味まつり」には大型バスで12台、「春の味まつり」に  は大型バス30台が来町。
  冬にどのようにお客さんに来てもらうか、「冬の食」が研究課題。
(5)町外からの人や町民の皆さんの意見について
 ・ふるさと納税
 JR留萌本線の留萌-増毛間の廃止に伴う報道などもあり、ふるさと納税は
 平成26年度1億2000万円、27年度4億7000万円、28年度5億、
 29年度5億5000万円と、町外の方に応援いただいている。
 今年は、総務省の返礼品の指導もあり、納税額を上げたことから、3億円ほどに。
 ・札幌や東京の京急百貨店で増毛産の果物をPR。
 ・三越デパートではB級グルメとして「タコザンギ」果物のPR。
 ・セイコーマートと連携し、増毛産洋ナシを使った製品の検討。…人間関係を活用しつながりを広げて行って  いる。
 ・オ-プニングセレモニーの町民ら100人によるロングテープカットなどは「町長、何かやろうや」との街の  青年らからの話で企画され、青年部協働隊の協力を得ながら「トロッコ試乗会」も行われ大勢の方が参加  している。
 ・クラウドファンティングによる旧増毛小学校の屋根のふき替え。また、旧富田屋の修繕は寄付により、町  民自ら景観保持に協力してくれている。

(6)考察
JR留萌線(留萌-増毛)の廃止という街にとって大きな痛手から、どのように街を再生して行くか、大変な課題と向き合いながら、懸命に努力されている姿に触れることができました。
増毛町が築いてきたこれまでの歴史や自然、育んできた文化、人間関係など、増毛町のもつ多くの財産を活かし、いわば「逆転の発想」で、鉄道廃止後に駅舎を再整備し、街の衰退を食い止める試みであり、「地域ブランド形成プロジェクト」で、映画「駅 STATION」の舞台となった「増毛駅舎」を増築、周辺環境を整備し拠点化することで、中心市街地を活性化させ、これまで以上の賑わいを作り出そうという意気込みが伝わる取り組みがされていました。
山があり、果樹園があり、海もあるという自然環境に恵まれている増毛町ですが、そうした環境に甘んじず、上記のように様々な努力がされ、駅前を中心に散策コースや桜の植樹なども手掛けたいとのことで、そうした取り組みから、増毛町全体の魅力向上につとめたいとのお話を伺いました。
果樹園のことでは、「他とは違う、こだわった商品をつくり、いかに買ってもらうかここが最大のテーマです」とのお話や、増毛町の課題としてあげられたのは「健康づくり」であり、地域がら塩蔵文化により、血圧による脳疾患が多い事、介護保険料も高い事などから、血圧を下げるため減塩の「増毛醤油」を開発したとのお話も伺いました。「必要は発明の母」「窮すれば通ず」という言葉があるように、増毛町の様々な取り組みを融合させながら地域ブランド形成に努力されている点などを学ばせていただいた有意義な視察でした。堀雅志町長をはじめ、佐藤善一議長、企画担当の職員の皆さん、議会事務局の皆さんにお忙しい中、貴重なお話を頂きましたことに心から感謝申し上げます。(文:佐久間 誠)
posted by makoto at 11:40| 日記